JA和歌山県農・植物バイオセンター様

各種培養苗の作成・増殖・販売をされています。
培地は自作され、msViP hotによりオートクレーブ作業を代替されています。植物の置床作業はクリーンベンチです。最近はゲランガムもご購入頂いています。


    スターチス・リンドウなどの無菌苗作成と増殖にご使用

    代表的 御購入品目(量は年あたり):
     msViP hot 数百g(滅菌培地量にして数キロリットル分に相当)
     ゲランガム 数kg(滅菌培地量にして数百リットル分に相当)


    主な目的:
     オートクレーブレス培地滅菌によるコスト削減と滅菌程度の安定化

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培地を通常の作業台で作成し、容器に分注し、冷却固化後に、クリーンベンチで置床されています。
容器の蓋を閉めて冷却固化すれば実用的に十分な確率で容器内も滅菌されます。

ご担当者からの短観(掲載ご許可を頂いています)

 培地作りの労力が大幅に軽減されています。1日に作成できる培地量としては、結果的には1.7倍程度ですが、オートクレーブする際の作業の大変さ、品温管理の煩雑さに加えて培養容器を選ばない点も助かります。オートクレーブで培地を大量に作っていると必ず滅菌不良による事故が起こるのですが、その心配が無いのは助かります。オートクレーブは突沸によって培養器の口やフィルターに培地が付着してコンタミネーションの原因になることも多いです。

 培地に加える熱量が少ないので培地成分の変質が少ないのも助かります。結構ゼアチンなどを入れないと育たない樹木類も多いのでロスが軽減されるのは助かります。
 現在は使い捨てできるポリ袋培地に少しずつ移行中で、作業性のブラッシュアップが課題です。女性が多い職場なので重いガラス製培養器は使いにくくて、軽いプラ製の培養器は劣化するので定期的に更新する必要もあり、そのコストは年間数十万円かかっています、加えて培養終了後の培養器を洗う労力は馬鹿にできないものがあります

 心配していたのは、薬害ですが、特に薬害に弱いリンドウでも問題なく生育しています。

問題点
 溶けにくいので、時々粒の荒いロットがあって気になるぐらいです。

ヴィトロプランツからの短観

 すでに培養用装置一式をお持ちの培養苗生産業者の方には、msViP hot による培地滅菌のオートクレーブからの置き換えがお勧めです。培地滅菌の効率化と安定化がはかれます。コストはまとめ買いの場合、オートクレーブの電気代程度、とお考えください。ヴィトロプランツでは植物培養においてはmsViPhotでの培地滅菌は、シャーレのような薄く小さい容器に少量の培地を入れて滅菌する場合以外はオートクレーブに劣るところはない、と考えております。

 あまり注意を払われていませんがオートクレーブによる滅菌は培地量や容器の違いによって不安定です。これは培地温121℃15分が達成できていないために耐熱芽胞菌が損傷菌として残ることによります。オートクレーブの蒸気温が低いためではありません。
始末が悪いことに損傷菌は滅菌後、しばらく置いておいても成長してこないため(接種テストでは3年貯蔵培養しても顕在化せず)、貯蔵確認の効果は限定的です。多くの場合、植物を植えないと顕在化してきません(上記の3年貯蔵した培地から1か月以内に顕在化。未発表。ヴィトロプランツ独自データ 損傷菌の詳細は日本損傷菌研究会(別サイトリンク)などをご参照ください)。
通常のオートクレーブ=小型圧力容器では培地温度は測定していません。培地を1L以上入れた容器や培地合計5L以上の場合は安全に滅菌できません。滅菌可能な程度に長く121℃を保つと培地の変質が激しく、植物の成長が著しく悪化します。
 これは熱媒体である水蒸気が比熱と熱伝導率が小さく効果的に熱を容器に伝ずに培地温度上昇が遅いためで、水蒸気温が上昇していないためではありません。 大量の培地が入った大型容器を滅菌したい場合は、オートクレーブ下部の水量を増やし、そこに培養容器が浸かるようにすると滅菌できます(ポリカーボネート容器において、20L/容器まで121℃45分設定で滅菌できることを確認。ただし培地は煮沸してから、直ちに容器に分注しオートクレーブ内に導入)

 eViP培地シリーズやmsViP hot使用すると『煮沸』という目に見える指標で確実に培地滅菌できます。なお、eViP培地シリーズやmsViP hotに添加されている薬剤は、油脂とデンプンの存在で、効果が弱まります。油脂とデンプンの多い天然有機物を大量に添加しないで下さい(ココナッツミルクとジャガイモの併用など。単独では問題はありません)。

 msViP hot がやや溶けにくい、固まっていることがある、ということは、以前から複数ユーザー様から指摘を受けています。改良は実は容易なのですが、そのためにはショ糖など分散剤を追加する必要があります。msViP hot を使用されるユーザー様には溶けやすくするよりも、ショ糖とはいえ余計なものがなるべくない方がより良いだろうということでそのまま販売させていただいております(培地糖としてはソルビトールやエリスリトールなどが主力でショ糖を添加されてないユーザー様もおられます)。
 msViP hotは等量程度以上の少量の砂糖や寒天などと混合してから熱湯に投入すると速やかに溶けます。なおゲランガムやキサンタンガム、小麦粉などダマになりやすいものも水に分散しやすい砂糖などと混合してから投入するとダマになりにくいです。一度お試し下さい。また、まとめて投入せず、少しづつ振り入れるようにするとダマになりにくいです。msViP hotご購入はこちら

 おそらくゲランガムは10kg程度以下のご購入であれば国内最安値です。これは海外から輸入後、ロットごとにヴィトロプランツで植物を培養してチェックすることにより達成しています。是非ご購入を検討ください。寒天は残念ながらそこまで手が回っておりません。ゲランガムご購入はこちら

 sirViPシリーズによるクリーンベンチレス置床作業は、無菌→無菌の継代作業に関しては熟練者によるクリーンベンチ置床作業よりもほぼ全面的に劣ります。現在のところ、プロの培養業者様方にはお勧めできません。これは塩素液をスプレーすることにより一行動増えるため、と、薬害が0ではないことによります。特にカルスや前葉体などの軟弱植物では『できないことはない』というレベルです。  ただし、初代の除菌と汚染植物のレスキューに関してはヴィトロプランツ代表が知りうる限り過去のあらゆる除菌方法よりも、植物のダメージ少なく安全かつ強力に除菌します。sirViPシリーズによる除菌はプロの培養業者様方にも十分お勧めできますので、是非お試しください。sirViP Gの方が効果・安全性・価格共にsirViPよりも優れています。しかし、sirViP Gには未公開成分が多く含まれています。